ミャンマー語ニュース翻訳ブログ

2021年2月1日のクーデタにより軍政支配が再び始まったミャンマーについて、現地語ニュースやSNSなどでの投稿を日本語で紹介していきます。現地の人たちや現地メディアが何をどう伝えているのか、少しでも多くの人に伝わることを願っています。(ブログ管理者はミャンマーの歴史・マイノリティの人びとについて大学で教えたり研究したりしています。)

アウンサンスーチー氏、弁護士と接見なるか?

2021.3.25

 

2月1日に起きた軍クーデタにより、5つの罪状で逮捕の嫌疑をかけられた国家特別顧問アウンサンスーチーの弁護士2名への委任状を、治安部隊が3月25日に初めて公開した。

アウンサンスーチーの事案を弁護するためにベテラン弁護士であるチーウィン、キンマウンゾーを含む5名をNLD側が裁判所に申請していたが、若手の弁護士ミンミンソーとユーヤチェッ2名に委任状が出された。

3月25日、弁護士に任命されたミンミンソーが、アウンサンスーチーと初めての面会をできるよう通知書(の発行)を依頼した。国家顧問に容疑をかけた罪状について、正当に調査がすすむよう努力すると述べた。

 

アウンサンスーチー側は、2月16日に(ネーピードーの)ザブーティリー裁判所にて、オンラインで実施された審理において弁護士を雇いたいと要求したが、本日まで弁護士との面会は実現していない。

一連の容疑について弁護を担当する弁護士らも、アウンサンスーチーと面会できるよう何度も求めているが、実現していないと裁判官キンマウンゾーが述べた。同氏は、「我々の側としても、裁判官として、アウンサンスーチーを拘束した警察に対し、法的解釈、人権的な観点、国際的基準、ミャンマ―国憲法における規定などを説明して要請しているが、面会の許可が下りていない」と述べた。

 

拘束されてから50日以上が過ぎても、弁護士との面会が果たされていないため、被告も不利益を被っているともミンミンソーは語る。「拘束されて以来、面会し弁護士の支援ができるまで非常に難しく努力している。(面会できない)時間が長くなっていくと、容疑をかけられた側は不利益を被る。弁護士との接見ができたならば、その後やるべき事を引き続き行っていく。ほかの弁護士らも(弁護団に)含められるよう要請していく。法廷の状況に基づいて行える限り、法の権利を全て請求していく。」と同氏は話している。

 

国家特別顧問アウンサンスーチーを、軍クーデタがネーピードーのザブーティリー裁判所で4つの罪で告訴したように、ヤンゴンにおける国家機密法によって追訴されている。

 

国家顧問に対する軍評議会の起訴内容

クーデタ後に、アウンサンスーチーの自宅に押し入り家宅捜索したところ、無線機が発見され通信機器を違法に輸入したとして告訴し、輸出入法第8条によってまず容疑をかけた。

2月16日には、ザブーティリー裁判所でのオンラインでの審理では、選挙期間中に投票を促す選挙カーの隊列を容認し、コロナ関連の規則を破ったとして、自然災害管理法第25条によって追訴した。

3月1日には、二度めの審理において、国家の平和を脅かす活動を行ったとして刑法第505条第二項および通信法第67条によって三度追訴した。そして今回、国家機密法とヤンゴン県東部裁判所にて告訴が提出されたとアウンサンスーチー側の弁護団が発表した。

輸出入法と自然災害管理法では、有罪となった場合最長で3年の禁錮となる。

国家に対する名誉棄損に関する法律として知られる刑法505条第2項では、有罪の場合最長2年の禁錮刑となる。

通信法第67条によると、禁錮刑1年の罪が課される。

国家の治安あるいは利益を損なう活動に関する刑罰を定めたミャンマー国家機密法によると、最長14年の禁錮刑が科される。

国家特別顧問のアウンサンスーチーに対し、軍評議会側は現在の告訴内容の他に汚職による違法行為があったとして告訴している。マウンウェイッから55万ドル、ヤンゴン管区大臣ピョーミンテインから60万、アカデミーから金11.2キロをアウンサンスーチー氏が受け取ったと軍評議会はしている。

これは、重大な条項でアウンサンスーチー氏を起訴できるよう、軍評議会が用意を始めているのだと、法律家らと政治学者らは推測している。

 アウンサンスーチー氏に対し、クーデタを起こした国軍は、汚職の件でもう一度告訴する予定はないとしつつ、国家顧問と大統領の2度の審理をネット回線の不調のため日程を延期していた。

 

CRPH 、ショーン・ターネル(Sean Turnell)氏とアウンサンスーチー

アウンサンスーチーを告訴した刑法第505条第2項は、連邦議会代表委員会(CRPH)と関連しているとキンマウンゾー氏が述べた。

「2月6日のCRPHの発表に関し、(軍系)政党幹部としての責務として、アウンサンスーチー氏、ウィンミン大統領、ネーピード評議会ミョーアウン議長らを第505条第2項によって起訴した」とキンマウンゾーが説明した。

 

総選挙で勝利したNLDの議員の大半によって組織されたCRPHがフェイスブック上で2月6日付で発表した声明文では、軍のクーデタは憲法違反であり、軍評議会の政府を承認しない旨、そして大統領と国家特別顧問を含む拘束された者たちを例外なく解放し、連邦議会の通常業務を行うためにCRPHを組織したと発表された。

 

一方、ヤンゴン管区東部の県で追訴された国家機密法は、アウンサンスーチー氏のアドバイザーを務めていたオーストラリア人のショーン・ターネル氏に関連しているとキンマウンゾーは考えている。

アウンサンスーチーとショーン・ターネル氏を含む5名を3月25日に県東部裁判所で告訴されたことが判明しているとも同氏は説明した。

軍のクーデタ後、2月上旬以来拘束されているショーン・ターネル氏を入国管理法第13条第1項、政府機密法第3条第4項によって調査していると、軍評議会は3月23日の記者会見で初めて発表された。

しかし、この件について、ショーン・ターネル氏を含め、アウンサンスーチーらの弁護士を雇う許可がまだ得られていないため、詳細はわかっていない。軍評議会側は、アウンサンスーチーとウィンミン大統領らをネーピードにて拘束されているとはいえ、クーデタ後50日以上経過するまで彼らの居場所を正確にはわからなかった。アウンサンスーチーとウィンミン大統領を含む拘束者全員を解放するよう、国連、アメリカ、イギリスなどの国際社会が繰り返し求めている。

 

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www.bbc.com